当院について
骨盤臓器脱とは
骨盤の中の臓器を支えている組織(骨盤底筋群)が弱くなり、腟壁を通して押し出されてくるのが骨盤臓器脱です。重力、加齢、妊娠・分娩による損傷や腹圧などで組織が臓器を支えられなくなり、膣より体外へ脱出し、骨盤臓器脱となります。
また、肥満は骨盤臓器脱を増悪させる要因です。生活習慣の面から見ると、普段から便秘の方は排便時の腹圧が長年にわたり骨盤底組織に負荷をかけ、骨盤臓器脱の予備軍となっています。
主な症状は
・何かボールのようなものが触れる
・イスに座るとボールの上に座っているような感じがする
・股に何か挟まっているような異物感がある
・尿の出が悪くすっきりしない
・夕方になると不快感や異物感が強くなる
など
骨盤臓器脱の治療
治療は基本的には手術療法となります。 また、脱出が軽度の方や手術を受けられない方のためには、保存的療法として膣にペッサリーというシリコン素材のリングを挿入する方法もありますが、あくまで補助的な矯正器具なので根本的な治療法ではありません。 この器具は定期的な交換が必要となります。
腹腔鏡下仙骨膣固定術(LSC)
骨盤臓器脱に対するもっとも新しい治療法です。
この手術は経腹的に腹腔鏡という内視鏡を使用し、前後膣壁にメッシュを固定し膣を引き上げて仙骨に固定する方法で、お腹に12mm程度の穴を4か所あけ、そこから内視鏡や器械を使用し行ないます。手術は全身麻酔で行ない3‐4時間程度かかりますが、入院期間は1週間程度で済み、挿入されたメッシュによる合併症(違和感や性交痛、メッシュの露出)がTVMより低いといわれています。
経腟メッシュ手術(TVM)
膣外へ出てしまった膀胱や子宮を、腟内からの手術操作で支える手術です。メッシュ状の布を腟壁に沿って膀挿入し、膀胱や子宮を支えます。
手術後は、尿道に尿を導く管(尿道バルーンカテーテル)を2~3日間入れておきます。
腟壁形成術
膣の内側の粘膜を切開し、その奥の筋膜を縫合することで腟壁を補強します。溶ける糸を使用するため抜糸の必要はありません。
膣閉鎖術
合併症の多い方、高齢の方に対して行なう手術で、膣の入口を縫い縮め閉鎖します。
手術の負担は少ないですが、性生活が困難となります。